お酒(アルコール)と脳について:概要 (Japanese)
お酒を飲むと、アルコールが脳の情報を伝える経路を妨害して、脳の外観や働き方に影響を与えることがあります。アルコールは、脳の領域が平衡感覚を保ったり、記憶や発話、脳の働きの判断を統制したりするのを困難にします。すると、けがや良くない他の結果を招いてしまう可能性が高くなります。長期にわたる大量飲酒は、サイズの減少など神経細胞に変化を引き起こします。以下に、アルコールと脳に関する重要なトピックをいくつか示します。
青年期の脳
青年期の脳は、成人の脳よりもアルコールの悪影響を受けやすくなっています。青年期の大量飲酒は、脳の発達を変化させ、脳の構造と機能が長期的に変化してしまう可能性があります。
アルコールによる記憶喪失
大量飲酒は、アルコールによる記憶喪失を引き起こす可能性があります。アルコールによる記憶喪失とは、酔っている間に起きた出来事を覚えていない記憶の空白時間があることです。記憶の空白が起こるのは、記憶を短い間保存するところから、長い間保存するところへ転送(記憶の固定化として、知られています)するのを一時的に阻害するほどのアルコールを飲んだときです。この働きをする脳の領域は、海馬と呼ばれています。
アルコールの過剰摂取
かなりの障害があることをはっきりと示す徴候があるのに飲酒を続けてしまうと、アルコールの過剰摂取になることがあります。アルコール過剰摂取は、血流中にアルコールがたくさんある場合に起こり、呼吸、心拍数、および体温管理などの基本的生命維持機能をコンロトールしている脳の領域が機能停止し始めます。アルコール過剰摂取の症状には、精神錯乱、意識維持困難、嘔吐、発作、呼吸困難、心拍数の低下、冷たくて湿っぽい肌、反応の鈍化(窒息を防ぐ咽頭反射がないなど)、および体温の極端な低下などがあります。アルコールを過剰摂取すると、脳の永続的な損傷や死亡に至る場合があります。
アルコール使用障害
お酒を飲み続けるにつれて、脳の構造や機能に進行性の変化が起こることがあります。これらの変化で脳の機能が損なわれてしまい、飲酒は時々で酒量もほどほどだったところから、絶えず大量に飲酒するようになる可能性があります。そうなると、制御するのが難しく、アルコール使用障害に至ることがあります。中等度から重度のアルコール使用障害の方は、アルコール依存症のサイクルに入り込む可能性があります。長期の断酒後に、脳がどの程度正常に戻るかは完全には解明されていません。しかし、少なくともアルコール使用障害による一部の脳の変化や、それに伴う思考、感情、行動の変化は、数ヵ月の禁酒によって改善し、回復する可能性を示す研究が増えつつあります。[アルコール使用障害の神経科学に関する詳細については、アルコールに関する医療従事者のコアリソース(The Healthcare Professional’s Core Resource on Alcohol)の神経科学:依存症と回復における脳(Neuroscience: The Brain in Addiction and Recovery)の項をご覧ください]。
出生前のアルコール曝露
出生前のアルコール曝露は脳の損傷を引き起こす可能性があり、小児期のいずれかの時点で発達、認知、行動に関するさまざまな問題を引き起こす可能性があります。アルコールは、妊娠期間中のどの段階でも胎児の発育を妨げる可能性があります。この期間には、妊娠初期や女性が妊娠に気づく前の時期も含まれます。